(7) 介助者は脇を絞めるようにしながら、本人のお尻を浮かせ気味にします。

少しずつ何回かに分けてボード上を滑らせて車いす側の移動させ、車いすに着座します。

(8) 移乗の最後に、介助者の膝で本人の膝を押すようにして(送り膝を使って)深く座らせる。

(4)応用型−両脚の間に介助者の脚を入れ る方式

本人の座位バランスが悪く、前方へ滑り落ちてしまう場合に効果的です。

これまで介助者が教えられてきた方法に近いので、受け入れられやすい場合があります。

(1) 車いすのアームレスト、レッグサポートをはずします。

(2) 端座位をとります

(3) 介助者は本人の斜め前に立ち、介助者側に本人を傾けさせて、反対側のお尻を浮かせ、トランスファーボードを敷き込みます。

(4) 人の両脚の間に、介助者の移乗先とは逆の脚を入れます。

(5) 移乗側の手は腰へ、反対側の手は脇の下へ入れます。

(6) 人の上体を移乗側へ傾け、移乗させます。

(7) 移乗の最後には、介助者の脚で本人の移乗側の脚の内腿を押すようにして回転を助けます。介助者の骨盤から回旋させるように行います。

この動作をおこなわないと回転が不十分になってしまい、本人の移乗先とは逆の脚が取り残され、移乗が不完全になります。

(8) 移乗後、背後に回って座り直しをおこないます。

この方法では着座は浅くなりますが、あえて一度に深く座らせようとはしません。(介助者が上体をひねるようになってしまうことを避けるため)

脚に変形や拘縮があれば、膝をロックすることが難しいが、この脚を入れる方法であれば適用しやすい。

2)車いすからベッドへの移乗

基本的にベッドから車いすへの移乗と異なる点はありません。

介助者が立位をとる方法は着座姿勢を正確にしにくいといえますので、車いすへ移乗する場合より、ベッドへ移乗する方が適しているといえるかもしれません。

特に介助者が小柄な場合には、この立位で介助する方法は力を入れやすく、適しているといえるでしょう。

3.4介助者が後方から介助する方法

この方法はCDROMに具体的な手順が収録されています(4.2M)

本人の股関節に屈曲制限があり、移動時に後方に倒れやすい場合にはこれまで記述してきた方法では前方に滑り落ちる危険があります。ここで記述する方法は介助者が後ろ側から移乗介助する方法です。

この場合の介助者の動きは二人で介助するときの後方介助者の動きと同じになります。このようなことから、この方法は収得しておいた方がよい方法であるといえます。

・使用用具

前述した「介助者が膝をつく方法」で使用した用具に加えて、

介助ベルト:本人の腰に巻くベルト。ここでは「フレキシベルト」(ベルテックジャパン)を使用しましが、「MTSベルト」(パシフィックサプライ)など類似品があります。

選択の基準は、簡単に固定することができ、介助者がつかみたい位置と方向に取っ手があることです。
(1) 車いすのアームレスト、レッグサポートをはずします。

(2) 端座位をとります。

後方に転倒してしまうときは支えながら以下の作業を行うか、支えるために別な介助者が必要になります。

(3) 本人の腰に「介助ベルト」を固定します。

介助ベルトの固定方法は後述します。

(4) 本人の体幹を横に傾けて、片側の臀部を浮かせます。

(5) 浮いた臀部の下にトランスファーボードを差し込みます(お尻半分)。

(6) 車いすを近づけます。

車いすの向きは必ずしもベッドに対して斜めにする必要はありません。

後述する本人を回転させて車いす上に移乗したとき、骨盤が背もたれに対して平行になると横方向に力を加えます。