3.5 二人で介助する

この方法はCDROMに具体的な手順が収録されています(6.3M)

本人が端座位を保持できない場合、体格が大きく介助者一人では負担が大きい場合、介助者の体格が小さかったり能力が低い場合などでは、一人ではなく、二人で介助する方が容易であり、安全でもあります。

基本的な方法は3.3で記述した介助者が立位で介助する方法と、3.4で記述した介助者が後方から介助する方法を組み合わせたものです。

・介助ベルトを本人の腰につけます。付け方は【介助ベルトの締め方】を参照ください。

・一人の介助者が端座位で座っている本人の横に立ち、体幹を介助者側に傾けます。

・他の介助者がボードを差し込みます。

・一人が本人の前で立位をとり、腋の下から両手を入れて肩甲骨に手をかけます。

前側介助者の介助方法はこの方法に限定されず、これまで記述してきたどの方法を採用してもかまいません。

・他の介助者が本人の後ろに回り、ベッドに膝をついて介助ベルトをつかみます。

・二人の呼吸を合わせて車いすに移乗させます。

前側介助者、後ろ側介助者ともにこれまで記述してきた方法で介助してください。

途中で休むときは必ず声を掛け合って、同時に休みます。

3.6介助者がいすに座る方法

この方法はCDROMに具体的な手順が収録されています(3.0M)

介助者が前から介助する場合のバリエーションとして、介助者がいすに座って行う方法もあります。

・使用用具

上述した用具に加えて、

いす:アームレストがないいす。4脚以上の安 定したいす。バックレストがあった方が安定する。

基本的な手順は前述した「介助者が膝をつく方法」と同じです。

介助者が膝をつくことができない(膝が痛いなど)場合や、膝をつくことを嫌う(施設などで感染防止に力点を置いている)場合には、膝をつく代わりに介助者がいすに座って前述した介助動作を行います。

前述した手順と異なる点だけを記述します。

(1) 介助者はベッド端座位をとっている本人と車いすとの中間位置にいすを置き、それに座ります。

いすはアームレストのないいすが好ましい。座面だけが回転するいすだと回転させやすい。

キャスターのついているいすは危険。

(2) 介助者は両足を広げて座り、片足で車いすのキャスターを押さえます。

(3) 以降。本人を回転させる要領で車いすまで移動させます。

この際の注意事項は前述した内容と同一です。

(7)足を整えます

(8)ベッドの高さを調節します。

(9)介助者は本人の後ろ側に回り、ベッド上に片膝をのせます。

 もう一方の足は、車いすとベッドとの間に置きます。

(10)後ろから腰の脇のベルトをつかみ、本人の身体を車いす側に傾けて、ボード上を滑らせて移動します。

 介助者はかがみ込まないように、姿勢を起こすようにします。かがみ込むと腰に負担がかかります。

 本人が移動中に前方に滑りやすいので、しっかりベルトでコントロールする必要があります。

本人が前方に滑りやすく、不安なときは二人で介助するようにし、もう一人の介助者が前方から介助します。

 一度に移動する必要はありません。途中で止まって介助者の体制を整えるなどしながら移 動してもよいでしょう。特に介助者が小柄な場合は一度にすべての距離を移動するのは難しい場合が多いといえます。

(11)着座姿勢を確認し、介助ベルトをはずします。

「補足事項」

 (9)で介助者は膝をつくのではなく、足をベッド上につく場合もあります。膝をつくとその後動きにくくなりますが、足をついていると途中で介助者の位置を変えたいときなど容易に変更することができます。

 また、このときベッド上に座り込んでしまうというのも一つの方法です。介助者が極端に小柄で本人が大柄ですと、ベッドに膝をついて床に足を下ろすと、ほとんど身体の動かしようがないというような場合があります。このようなときはベッド上にお尻を下ろして少しずつ移動させるというような方法も有効な場合があります。

【介助ベルトの締め方】

 介助ベルトは概ね骨盤の上端にかけます。この位置では介助動作ごとにベルトがずれてゆるむ可能性があることに注意します。特に上向きに力を加えるとすぐずれます。しかし、ここで行う方法はできるだけ持ち上げるのではなく、滑らせることが主眼ですから、どちらかというと横方向に力を加えます。

骨盤と胸郭との間で締めると、介助時にベルトのずれは小さくなるが、上向きに力が加わったとき肋骨に負荷がかかることに注意が必要です。また、この場合には締めすぎにも注意が必要です。

ベルトを締めるように両端を重ね合わせるのではなく、柔道の帯を締めるように両端を両手で斜めに引くと、好みの強度で締めることができます。

バックルの位置を前にするというよりは、取っての位置でバックルの位置を決めます。これから行う作業の内容によって、どの取っ手をつかむかを考え、その取っ手がもっとも適した位置になるようにベルトを回転させます。