原著論文 第4巻 第2号 2009年3月

小型3軸加速度センサを用いた変形性膝関節症患者の歩行分析 print
浅井  剛 PT, MS(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部 医療リハビリテーション学科 理学療法学専攻)
永嶋 道浩 PT(伊丹市立伊丹病院)
前川  匡 PT, MS(土井病院)
土井 剛彦 PT, MS(神戸大学大学院保健学研究科)

変形性膝関節症(以下knee OA)は機能障害に由来する特徴的な歩容異常を呈する。本研究では、小型加速度センサを用いてknee OA患者の歩行動作を計測し、得られた歩容指標からknee OA患者の歩容異常について検討を加える。対象は健常高齢女性10名(以下コントロール群、年齢:69.1±5.2歳、BMI:21.9±2.9)とknee OA女性患者14名(knee OA群、年齢73.6±6.4歳、BMI:24.5±3.6)であった。一般歩容指標として歩行速度、ケイデンス、歩幅を、加速度信号から得られる歩容指標としてRoot Mean Square(以下RMS、動揺性の指標)、Approximate Entropy(以下ApEn、規則性の指標)、Harmonic Ratio(以下HR、調和性の指標)を求めた。knee OA患者の歩容はconservative gait patternとなり、全方向でRMSが小さかった(p<0.05)。HRは全方向においてknee OA群で有意に小さかった(p<0.05)。ApEnは側方および鉛直方向においてknee OA群が有意に小さかった。knee OA患者の歩容は姿勢安定性を高めた歩容であることが示された。また、歩行周期からは逸脱した加速度要素が多く含まれる一方で自由度を失った規則性の高い定型的歩容を選択することが示された。

キーワード:変形性膝関節症、歩行分析、小型3軸加速度計