・本人にこれから立ち上がることを説明し、できるだけ健側の足に力を入れてもらいます。 ・本人の身体を前傾させながら、身体を引き寄せます。 本人の身体が前傾することで頭が前下がりになり、腰が浮きやすくなるので容易にできます。 ・本人の両脇から手を差し入れ、腰部で組みます。本人にはできるだけ介助者の首から肩に手をかけてもらいます。患側の手は本人の腹部に置くなどして安全を確保します。 (この時、可能ならばあごも一緒に肩に乗せてもらうと楽に動作が行えます。) ・介助者は腰を回転させ、本人を車いすへと移動します。 ・車いすに着座するときは、本人にできるだけ座るところを確認してもらいながら、呼吸を合わせゆっくり座ります。 この時介助者は、本人と同じく腰を落とすことによって前屈みの姿勢になることを防ぎます。 ・浅く腰掛けた場合には、介助者は車いすの後方に回り、本人に胸の前で腕を組んでもらいます。 介助者は本人の両脇から手を入れ、本人の組んである肘の近くを握り、いったん前傾させながら、手前に引き寄せ、深く腰掛けさせます。 この時、ズボンを持ち上げる場合もありますが、本人にとっては不快であるので避けるべきです。 (3)まったく立てない場合(支えがあれば 端座位の姿勢をとっていられる) この方法はCDROMに具体的な手順が収録されています(1.6M) ・端座位の姿勢をとらせます。 ・本人の健側に車いすを20度〜30度の角度でできるだけ近づけ、ブレーキをかけます。 両下肢の筋力低下の場合にはどちらでもよい。 ・本人をベッドに浅く腰掛けさせます。 この時、介助ベルトやさらしなどを使用すると本人に過大な負担をかけず、また、介助者にとっても力を入れやすく、安全で、効率的であるといえます。 ・本人の両足の間に、介助者の車いすから遠い側の足を入れます。 ・本人の両脇から手を差し入れ、腰部で組みます。 本人にはできるだけ介助者の首から肩に手をかけてもらいます。患側の手は本人の腹部に置くなどして安全を確保します。 ・本人にこれから立ち上がることを説明し、身体を引き寄せながら立たせ、お互いの腰を密着するように持ち上げながら、方向転換します。 この時介助者は、両足を前後に開き、腰を落とし、身体全体を使います。また、本人の足の間に入れた介助者の足で、本人の下半身を車いすの方向へ移動するようにします。 ・車いすに着座するときには、安全を確かめながらゆっくり座ります。 この時介助者は、本人と同じく腰を落とすことによって前屈みの姿勢になることを防ぎます。 ・浅く腰掛けた場合には、介助者は車いすの後方に回り、本人に胸の前で腕を組んでもらいます。 介助者は本人の両脇から手を入れ、本人の組んである肘の近くを握り、いったん前傾させながら、手前に引き寄せ、深く腰掛けさせます。 この時、ズボンを持ち上げる場合もありますが、本人にとっては不快であるので避けるべきです。 [注意事項] ・介助者の身長が低い場合には、本人の脇に介助者の頭を通して、肩で介助者の上半身を支える方法もあります。 ・全介助の場合には、持ち上げるという動作があるため、少なからず介助者の身体能力が影響します。できれば2人で介助する方法や福祉用具を使用する方法を考えたいものです。 |
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2.2膝の間に脚を入れる方法
この方法は介護の現場で実際に用いられている介護技術のひとつです。バリエーションがいろいろありますが、そのうちの代表的な方法について記述します。 介助者は本人の残存機能を最大限生かし、自立した生活への支援を目的とし、あわせて介助者自身の健康保持のための動作であることに配慮する必要があります。 1)本人の身体機能 ・ここで記述する移乗技術の対象となる本人は、脳血管障害による片麻痺、および廃用症候群による下肢の筋力低下により、以下の身体機能の方とし、端座位がまったく取れない方は対象外とします。 (1)ごくわずかではあるが介助が必要な方 (2)かなりの割合で介助が必要な方 (3)まったく立てない方(支えがあれば端座位の姿勢をとっていられる方) 2)場面 ・主に車いすからベッド、ベッドから車いす(車いすの条件についてはアームレストが脱着可能なもののほうがよい)で利用しますが、比較的幅広くいろいろな場面で利用することができます。 3)介助者の想定 ・専門職、一般の方、本人の家族など、幅広い方が対象となります。 4)環境設定 ・いつでもどこでもできる方法です。 5)介助者の能力 ・健康であることが必要です。体格差が大きい場合には、無理をせず、2人または福祉用具を使用したほうがよいといえるでしょう。 ここでは一人で介助するときについてのみ記述します。 6)介助方法 (1)ごくわずかではあるが介助が必要な場合 ・本人は端座位をとり、足裏をしっかりと床につけます。 ・片まひの場合には本人の健側に車いすを20度〜30度の角度で、できるだけ近づけ、ブレーキをかけます。 ・本人はベッドに浅く腰掛けるように、臀部を前に移動させます。 ・本人は健側の手で、車いすの身体から遠い側のアームレストをつかみます。 ・本人にこれから立ち上がることを説明し、声をかけ、立ってもらいます。 この時、介助者は本人の患側の脇前から手を差し入れ、もう一方の手で臀部に手を添えます。 また、それと同時に膝折れを防ぐために、患側の膝を介助者の両下肢で前と横を押さえ、立位姿勢を保持します。 ・本人が立ちあがったら、健側を軸にして回転します。 ・車いすに着座するときは、本人にしっかりと座るところを確認してもらいながら、呼吸を合わせ、ゆっくり座ります。(この時、本人の膝折れに注意する必要があります。) ・浅く腰掛けた場合には、介助者は車いすの後方に回り、本人に胸の前で腕を組んでもらいます。 介助者は本人の両脇から手を入れ、本人の組んである肘の近くを握り、いったん前傾させながら手前に引き寄せ、深く腰掛けさせます。 この時、健側に力を入れてもらい、踏ん張ってもらうと省力化が図れます。 (2)かなりの割合で介助が必要な場合 ・本人に端座位をとらせ、できるだけ足裏を床にしっかりつけます。 ・片まひの場合には、本人の健側に車いすを20度〜30度の角度でできるだけ近づけ、ブレーキをかけます。 ・本人をベッドに浅く腰掛けさせます。 ・介助者は本人の両足の間に、車いすに近いほうの足を入れます。(患側の膝折れを防ぐため) |
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